工務店とは?ハウスメーカーの違いや選ぶときのポイントは?5

工務店④:工務店に依頼する時の注意点

注文住宅を工務店に依頼した場合、どのようなリスクがあり、どんなことに気をつければよいのでしょうか。

●品質レベルにバラツキがある場合も…

工務店は地元に密着しており、工事が業務の中心なので技術力が“売り”と紹介しましたが、すべての工務店がトータルに高い技術力を誇っているのかというと、そうとは言えません。

工事の質は、実際には大工さんや左官屋さんなど、現場で働いている職人さんの腕によって左右されることがあります。工務店の社員として大工さんがいる場合もありますが、多くの工務店では、協力してくれる大工さんや左官屋さんを集めて工事を行います。

そのため、どんな職人さんと一緒に仕事をしているかによって工事の出来が決まってきます。

また、いつもは長年一緒に仕事をしている職人さんに作業してもらっているが、たまたまその期間だけ手が空いていなかったので別の職人さんを招集したというケースもあります。そうなると、いつもは高い技術力を誇っている工務店でも、たまたまいつものレベルまでいかなかったという可能性もゼロではありません。

もっとも、これはあくまでリスク管理としてのシミュレーションです。信用を何より重んじる工務店ですから、品質の管理には最大限の努力をしています。

ちなみに、ハウスメーカーに依頼した場合でも、現場で施工するのは地元の工務店がほとんどと説明しましたが、それでもハウスメーカーの住宅のほうが工務店の住宅よりも品質が安定しているのは、建築資材の一括管理や工法がシステム化されているからです。

●工期が長いので、余裕を持った計画を

注文住宅は建売住宅に比べれば、できあがるまでの期間は長くなります。だいたい1年くらいを目安にと説明しましたが、同じ注文住宅でも、ハウスメーカーに依頼した場合と工務店に依頼した場合を比較すると、工務店のほうが工期が長くなります。

工務店はオーダーメイド型、ハウスメーカーは基本設計のうえにカスタマイズするタイプといった違いのほか、施工期間だけ比べてみても、スピードではシステム化された工法を採用しているハウスメーカーが勝ります。

そのため工務店に依頼すると、引き渡しまでに1年より長くかかることも。余裕を持った計画を立てておきましょう。

●倒産するリスクあり

まさか!とは思いますが、規模の小さな工務店の場合、施工中に倒産してしまうというリスクがあります。安定度で考えると、規模の大きなハウスメーカーのほうが安心です。

ただし、工務店が倒産したことで工事が中断。完成させるために別の工務店に再依頼した場合の追加費用や、倒産した工務店に払い済みの前金を保証してくれる「住宅完成制度」というものがあります。

これは工務店が万一の場合に備えて、顧客に迷惑をかけないように加入するものです。依頼する工務店が住宅完成制度に加入していれば安心材料になります。

●小回りのきくアフターフォローを期待したが…

工務店の特徴として、地元にあるので、こまめなアフターフォローを期待できると説明しました。すぐに連絡がついて駆け付けてくれるのがメリットですが、社員全員が多忙すぎて、すぐには駆け付けられず、かなり待たされたというケースもあるようです。

むしろハウスメーカーのほうが24時間365日対応の体制になっていたということも…。

工務店の対応力については千差万別なので、どんな対応をしているかは事前にチェックしておきましょう。

●融資や土地探しは相談できない!?

工務店は施工が主な仕事なので、なかには住宅ローンの相談や土地探し、設計に関しては関与しない会社もあります。一方、こうした相談にも親身になって担当してくれる工務店もあります。要は、同じ工務店でも対応はさまざまなので、どこまで相談に乗ってくれるのかは事前に確認しておいたほうがいいでしょう。

●多少の知識は必要かも…

工務店は自由度が高く、一から好みの住宅を建てられるのがメリットですが、反面、ハウスメーカーのように基本形があるわけではないので、どんな家にしたいのか、希望をはっきり伝えないと設計が決まらない可能性があります。

単に「和モダン」「木の家」「ヨーロッパ風のデザイン」というだけでなく、具体的にどこをどうしたいのかといった希望が伝えられるように情報収集したり建築のことを少しは勉強する必要があるかもしれません。

次は、ハウスメーカーの特徴についてご紹介します。

監修:すまいポート21埼玉

工務店とは?ハウスメーカーの違いや選ぶときのポイントは?4

工務店③:工務店の賢い選び方とは

注文住宅を工務店に依頼しようと決めたものの、頭を悩ませるのは工務店の選び方です。知っておきたいポイントをご紹介します。

●口コミを参考にする

まず参考にしたいのは口コミです。工務店に依頼して注文住宅を建てた知人がいるなら、どんな対応だったか、進め方などを聞いてみましょう。できれば家そのものを見せてもらうといいでしょう。

工務店は地域密着型なので、地域で評判の工務店があれば、ぜひチェックしてみましょう。

ただし、気をつけたいのは、口コミだけをうのみにしないことです。口コミは参考になる情報ですが、その評価はあくまでその人の評価です。ある人にとっては相性のいいおすすめの工務店であっても、あなたの理想とする工務店とは違っている可能性があります。

最終的に選ぶのは、あなた自身であることを忘れないでください。

●HPやSNSで施工例を見る

工務店によって、得意なデザインや“売り”は違ってきます。特に設計から施工まで一貫して工務店に頼むなら、どんなデザインの家を建てているかをチェックしましょう。工務店ではお客さんの要望に合わせてオーダーメイド型の住宅をつくるのが基本ですが、曲線がきれいに出ている、複雑なデザインのものも扱っているなど、施工例から見えてくることは多いものです。

またHPには、どんなところにこだわっているかなどが詳しく載っています。たとえば、天然木にこだわっている、古い家を解体して新たに立て直す場合、できるだけ古い家の木材を活かすようにしている、耐震工法に力を注いでいるなど、参考になります。

●施工事例や現場での見学会があるか

小規模の工務店も多いので、必ずしもすべての工務店が施工事例の見学会や現場の見学会を開催しているわけではありませんが、施工事例の見学が可能なら、ぜひ行ってみましょう。

ちなみに、施工現場を見ることができるなら、必ずチェックしたいのが、現場にゴミが落ちていないか、道具類がきちんと片づけられているかです。効果的なのは、見学会当日よりも、ふだんの日、工事の終わった時間に確認してみることです。

現場をきれいにするのは当たり前のことですが、毎日のこととなると、つい気が緩んで雑になってしまう人もいるとか。掃除や片づけといった基本的なところでプロ意識の高さがわかるそうです。

●代案を出してくれるか

注文住宅の場合、こちらの希望をまず伝えます。けれど、内容によっては、予算や工期、機能面などで無理な注文になってしまうこともあります。そんな時の対応を確認してみましょう。

「それは無理な注文です。できません」と断るだけなら、ちょっと考えたほうがよいかもしれません。なぜその希望を実現することが難しいのか、どんな不都合があるのかを説明したうえで、「そのデザインのままでは無理だけど、一部をこのように変更したら強度が高まり実現できる」「そのままでは予算オーバーになるので、予算を抑えるために、たとえば、ここの材料を○○に変えてはどうか」など、代案を出してくれるなら、今後もいろいろな相談に乗ってくれるはずです。

●本当に無理なことは教えてくれる

前の項目と矛盾しているようですが、プロの技術をもってしても、どうしても無理なこともあります。あるいは、デザイン的には可能でも建築物としての機能面に難が出てしまうなど、致命的な欠陥になる可能性も。そんな時は、素直にできないと答え、その理由を丁寧に教えてくれる工務店は信頼できます。

●細かく見積をしているか

工務店を比較する場合、大まかな希望を伝え、見積を出してもらいます。価格は工務店選びの重要な要素です。

見積書には、わかりやすく概算額が出ているシンプルなものと、ズラズラと材料費の明細など付けられているものがあります。素人目には、何枚も細かい明細がついていてもよくわからないので、概算だけのほうが見やすいと感じますが、できるだけ細かくチェックすることをおすすめします。

概算額だけで決めてしまうと、後からどんどん材料費や追加の作業が加わり、金額が上乗せされる可能性があるからです。

細かな明細がついていれば、どこにどれだけの値段がついているかがわかるので、予算の見直しをする時にも参考になります。

また、細かな明細を用意するのはそれなりに手間がかかります。それだけ丁寧に向き合ってくれているという目安にもなりそうです。

工務店とは約1年にもなるおつきあいになりますから、相性のよいところを選びたいものです。

次回は、工務店に依頼する時の注意点です。

監修:すまいポート21埼玉

工務店とは?ハウスメーカーの違いや選ぶときのポイントは?3

工務店②:こんな人は工務店がおすすめ!

注文住宅を建てる時、工務店に依頼するか?それともハウスメーカーに依頼するか?

悩むことでしょう。

どちらのほうがよいという答えはありませんが、こんな人はハウスメーカーに依頼するよりも工務店に依頼したほうが、満足度が高いかも…という基準はあります。

●徹底的に自分好みの家を建てたい!

ハウスメーカーの場合、基本設計プランがあり、そこからカスタマイズしていくという方式が一般的です。一方、工務店はオーダーメイド型で、あなたの要望を聞いてから基本設計に取りかかります(設計事務所に頼む場合も)。

つまり、こだわりが多い人や、絶対にこれだけは譲れないといった点が多いのなら、ハウスメーカーよりも工務店に頼むほうが、希望通りの家を建てることができます。

また、設計段階ではデザインにこだわりすぎたけれど、プロのアドバイスを聞くうちに機能面の大切さを知り、設計プランを見直したいといった時など、工務店のほうが、自由度が高く、柔軟な対応をしてくれます。

●建設のプロセスを楽しみたい!

大事なマイホームを建てるのだから、すべてプロにお任せというよりは、自分も参加して一緒につくっていく喜びを味わいたいなら工務店がおすすめです。オーダーメイド型なので、細かな打ち合わせをします。また施工は直接依頼した工務店が担当するので、進捗状況がよくわかります。

規模の小さな工務店では、担当者が社長や工事現場の監督官ということもあります。現場をよく知っている人が担当してくれれば、工事の様子を細かに教えてもらえるでしょう。また、現場に行っても顔見知りがいるという安心感があります。

●建てたい場所が決まっている!

注文住宅の場合、その土地を気に入って事前に購入してあるので住宅を建てたい、二世帯住宅にしたいので古くなった家屋を壊して、新たな間取りの住宅を建てたいといった場合が多いでしょう。あるいは、土地はこれから探すけれど、気に入った町や地域があるので、そこに家を建てたいといったケースもあるかもしれません。

どの場合でも共通しているのは、建てたい場所が決まっているということです。

工務店は地域密着型の建設会社なので、地域のことをよく知っています。場所が決まっているなら、その土地に詳しい工務店に依頼するのがおすすめです。

土地探しに関しても、地元での人脈がある工務店に依頼したほうが、意外な掘り出し物が見つかるかもしれません。

また、最近では予想外の豪雨による災害も珍しくありません。土地造成などによって一見しただけではよくわからなくても、古くから地元にある工務店なら地形についても詳しいので、いろいろなアドバイスをしてくれることでしょう。

●アフターフォローを重視している

工務店もハウスメーカーもアフターフォローは誠意を持って行っていますが、小回りがきくという点では工務店に軍配が上がります。工務店は地元にあるので、駆け付けるのもスピーディーです。また小規模なところが多いので、すぐに担当者に連絡がつくといったメリットもあります。

工務店の中には、大きなトラブルでなくても水漏れレベルでも駆けつけてくれるところもあるようです。

地元に根差しており、住民との関係が深いので、工務店にとって大切なのは信頼関係。そういった意味でも丁寧な対応をしてくれるところが多いようです。

●価格をできるだけ安く抑えたい

工務店はオーダーメイド型、ハウスメーカーは基本プランからのカスタマイズ型と説明したので、ハウスメーカーに依頼するよりも工務店に依頼するほうが工事金額は高くなると考えていませんか。

その考えはある意味正解なのですが、ここでの「安く抑えたい」は、もしハウスメーカーと同じような家をつくったら~という前提の話です。

ハウスメーカーでは一括で建築資材を購入したり、システマチックに工事をして工期を短くあげる工夫がされていて、一般に同じデザインの家なら工務店よりも安い価格を提示できるはずなのですが…。

ハウスメーカーの場合、全国展開しているために大々的なCMを打っていて莫大な広告費がかかったり、展示会場の設置、営業担当者の人件費など、規模が大きいためにかかるコストがたくさんあるので、結果として、広告をせず、専任の営業担当者もなく口コミに頼った営業を行っている工務店のほうが価格を安く抑えられる可能性があると言われています。

こうして見ていくと、工務店ならではのメリットがたくさんあるのがわかります。

次回のテーマは、工務店の選び方です。

監修:すまいポート21埼玉

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工務店①:工務店の特徴を知ろう!

注文住宅を建てるには、工務店に依頼する方法とハウスメーカーに依頼する方法があります。

「えっ、工務店って、ハウスメーカーの下請けさんではないの?」

と思った方、その知識、まったくの間違いではないけれど、正しいとも言えません。

この回では、工務店についてご紹介します。

●工務店の仕事とは?

工務店の中心業務は工事を行うことです。

大工さんや左官屋さんなど、職人さんを集めて現場で指示を出し、工事が円滑に進むように監督します。

工事のスケジュールを組んで納期に間に合うようにしたり、資材を発注したり、工事が安全に行われるように現場の管理をしたり、現場全般を取り仕切るのが仕事です。何かトラブルが発生したら解決のために奔走するのも工務店の役目です。また、工事前に近隣住民に工事のお知らせをするといった仕事もあります。

●注文住宅を依頼できる工務店

工務店は工事を行うことが主な業務ですから、冒頭で紹介したイメージのように、ハウスメーカーの工事を請け負っている工務店もあります。あるいは、身近なところではリフォーム専門の工務店を見かけたことがあるかもしれません。

一口に工務店といっても、さまざまなタイプがあります。注文住宅を直接依頼する工務店となると、大きくは次の2つに分かれます。

①施工メインの工務店

施工に特化した工務店です。工事全般に関する現場力を“売り”にしているとも言えます。地域密着型で、長年その地域で活動している会社がほとんどです。このタイプの工務店に注文住宅を依頼する時は、設計は設計事務所にお願いすることになります。

そう聞くと、依頼するところが増えて面倒にも思えますが、たとえば、設計は、どうしても建築士にお願いしたいというこだわりがある場合は好都合です。

そうしたこだわりがないのなら、工務店から設計事務所を紹介してもらったり、工務店のほうで手配してもらうこともできます。

施工に特化しているので、会社の規模は小規模で技術担当が数名いるだけで、営業担当者がいないこともあります。それでも、お客さんが新しいお客さんを紹介してくれるなど、口コミで仕事が入ることが多いようです。

②設計から施工までのトータル型

会社の規模はハウスメーカーに及ばないものの、取り扱っている業務はハウスメーカーとほぼ同じで、設計から施工までトータルで担当してくれる工務店です。地域の中堅建設会社として知られていることも多く、なかには自社ブランドを持っている会社もあります。

施工だけでなく、注文住宅をつくるにあたって必要となる融資や土地探しの相談にも対応してくれるなど、トータル力が魅力です。

●工務店に必要な許可とは?

工務店の開業は個人事業で、特別な許可を得なくてもできますが、その場合は、建築一式工事なら1,500万円以上、一式工事以外なら500万円以上の工事を請け負うことはできません。つまり、注文住宅の依頼を直接受ける工務店ともなると、一式工事1,500万円以上の案件を取り扱うこともあるでしょうから、建築業法における「建設業許可」を得なくてはなりません。

こうした規定もあり、先ほど紹介したように、注文住宅の依頼を直接受けられる工務店とリフォームなど特定の工事しかしない工務店に分かれるわけです。

●ハウスメーカーと工務店の意外な関係

冒頭で、注文住宅を依頼するのはハウスメーカーか工務店かと書きましたが、この2つ、まったく関係がないように見えて、実は密接なつながりがあります。

ハウスメーカーに依頼した場合でも、実際に現場で施工を行うのは地域の工務店だからです。ハウスメーカーは建築資材や建築工法の開発をしていますが、ハウスメーカーに直接依頼しても、現場で施工するのはハウスメーカーの社員ではありません。

現場で工事するのは、ハウスメーカーと提携している工務店なのです。

こうした事実は、意外と一般には知られていないようです。

それなら、どちらに頼んでも大差ないようですが、依頼の窓口がハウスメーカーか工務店かでは、価格や工期、その他もろもろの対応が違ってきます。

次回は、工務店に依頼するメリットとともに、ハウスメーカーよりも工務店に依頼するほうが、おすすめのケースをご紹介します。

監修:すまいポート21埼玉

イオスホーム完成現場見学会のお知らせ

10月9日~10日にイオスホームさいたま新都心店が完成現場見学会を開催します。場所はさいたま市見沼区。

ここでしか見られない特別なこだわりが詰まった素敵なお宅です。吹き抜けのある広々したリビングを中心に、統一感のある内装でとてもオシャレな空間になりました。
バイクガレージや、玄関の手洗い器、蓄電池、小屋裏収納などなど、楽しく・便利に住める工夫が沢山あります。
是非、実際に見に来てください。

見学会は完全予約制です。イオスホームさいたま新都心店まで事前のご予約をお願いします。
HP: https://www.eoshome.co.jp
Mail: saitama@eoshome.co.jp
Tel: 048-650-3303

工務店とは?ハウスメーカーの違いや選ぶときのポイントは?

工務店とは?ハウスメーカーの違いや選ぶときのポイントは?

プロローグ:注文住宅の魅力

「やっぱり自分のお城が欲しい」─そんな方のための耳より情報をご紹介します。

第1回は、持ち家派と賃貸派の比較、建売住宅と注文住宅の違いを取り上げます。

●6割超は持ち家に住んでいる

多様な生き方が尊重される時代。ブランドバッグや車、高級服などは必要な時にだけ借りれば十分と考えている方も多いかもしれません。

その対象は家にまで及び、「持ち家派か?賃貸派か?」というテーマの記事を多く見かけます。いろいろな意見があり、どちらがお得か、あるいは、どちらが暮らしやすいかといった決定的な結論は出ていないようです。

しかし、2018年の住宅・土地統計調査によると、持ち家の人が61%でした。これはあくまで住んでいる家が持ち家の人というデータですから、持ち家がいいけれど、まだ家の購入が実現していないという人も含めると、やっぱり家だけは自分だけのものが欲しいと思っている人が多いことがわかります。

●持ち家のメリットは?

持ち家と賃貸、それぞれにメリット・デメリットがあるのはご存じの通りです。ここでは、持ち家のメリットを考えてみます。

「持ち家だと住宅ローンがあるし、古くなると修理もしなければならない。その点、賃貸は家賃さえ払えばいいからラク」という意見があります。

でも、ちょっと待ってください。

家賃の価格には、家主さんの利益分のほか、前の借主が引っ越してからすぐに次の借主が見つからなかった時のリスク分や当然ながら修繕費分などが含まれています。

つまり、見かけ上は、賃貸は修理費を払わなくてよい形ですが、実際にはちゃんと修理費分を払っているのです。しかも、他人(家主さん)の利益分など、持ち家だったら払わなくてよい分まで負担しています。

こうなると、経済面では、やっぱり持ち家のほうがお得だと言えます。

●建売住宅と注文住宅の違いとは

一戸建ての家を購入する場合、大きく分けると2つの住宅があります。建売住宅と注文住宅です。

建売住宅とは、土地と建物がセットで売り出されているもの。建物の間取りなどの設計は事前に決まっています。オプションで変更可能な箇所はありますが、設計そのものを大幅に変えることはできません。

注文住宅とは、設計の段階から依頼して建てる住宅です。土地はすでにっ持っているのでそこに家を建てたい、土地の購入はまだだが、好みの間取りやデザインにしたいという人に向いています。

また、建売住宅の場合、二世代住宅仕様のものがほとんどないため、二世帯住宅、三世帯住宅は、注文住宅になることが多いようです。

注文住宅は建売住宅よりも価格は高くなりますが、予算に合わせて徹底的にシンプルなデザインにする、リーズナブルな材料を使用するなどの工夫により、価格を抑えることも可能です。

●注文住宅を建てるなら…

一生に一度の大きな買い物だから、少々無理をしてもやっぱり注文住宅にしたい!

そうお思いの方も多いはず。予算的に建売住宅よりも高くなることは承知でしょうが、意外な盲点があります。引き渡しまでの期間です。

建売住宅の場合、すでに家が建築されていたり、着工はこれからだとしても数か月で引き渡しになるケースが多いのですが、注文住宅はそうはいきません。

実際にどれくらいの時間がかかるか、ご存じですか?

早くても9か月、一般的には1年ぐらいはかかります。

設計者に、どんな家を建てたいかといった打ち合わせをしてからプラン案を出してもらい、さらに細かいところを詰めていかなくてはならないからです。

また間取りやデザインなど、こちらの希望が上手く伝わっていない案なら修正してもらわなければなりません。

この時、希望通りの家にすると予算オーバーといった問題が起こるかもしれません。そうなると、予算と希望のバランスをとるための相談が必要になります。

このように、だいたいプラン作成に2~3か月はかかります。

その後、契約や最終的な打ち合わせに3~4か月、着工してから竣工までが概ね4~6か月になります。

どんな家がよいかを設計者に伝える前に、いろいろなカタログや雑誌などで情報収集するでしょうから、そうした時間も含めると、かなりの時間を割かなくてはなりません。

もっとも「モダンなデザインがいいな」「温かみのある木の家にしたい」「家族全員が集まれる大きなリビングが欲しい」など、あれこれ考えるのが楽しいとも言えます。

家族で話し合う時間が増えて絆が強まるといった効果もあるかもしれません。

次回は、工務店についてです。

監修:すまいポート21埼玉